チェン・イェン・ペン Cheng Yen Pheng
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1982年生まれ、セランゴール在住
自身の生活の中から作品を紡ぎだすアーティスト。自分で栽培した桑の木から自作した紙に、自然の素材やモチーフを用いて織ったり縫い合わせたりすることにより画面を作り出していく。福岡では、人々の暮らしに欠かせない市場や商店街などを取材し、作品制作に必要な材料や染料となる素材を集める予定。シンガポールで開催された「ユナイテッド・オーバーシーズ銀行絵画展 2019」にてマレーシア部門最優秀賞を受賞し、当館に1カ月間滞在。
[受入支援] 2023年2月7日〜2023年3月8日
作家は近年、自宅で育てる桑の木を原料にした自作の紙の上に、刺繍やドローイングを施した平面作品を制作してきた。以前から和紙作りの道具や技術、制作工程に強い関心があったことから、今回の福岡滞在では秋月、築後、八女にて紙すきや藍染体験のほか、岐阜県美濃市や富山県を訪れ、和紙や和紙を制作する道具の一つである簾桁の職人の工房を見学するなど、熱心に調査をおこなった。
また帰国直前には福岡アジア美術館でリサーチの報告会を行い、その後参加者とともにマレーシアから持参した自作の紙と美濃市で購入した和紙を用いてちぎり絵のワークショップを開催した。参加者は海外から来た人におすすめしたい福岡(または日本)の食べ物、風景などをモチーフに、作家のサポートを得ながら短時間でユニークなちぎり絵を完成させた。
チェン・イェン・ペンは化学薬品を用いず自然素材のみでの紙づくりにこだわりがあった。和紙作りの原料や技術を研究するため、帰国後もさっそく糊(練り)の原料となるトロロアオイを購入し、現在も紙づくりに思考錯誤を重ねている。
交流日記
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3月6日 リサーチの報告会・ワークショップ
7階アートカフェでリサーチの報告会とちぎり絵体験ワークショップを行う。
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3月3日 富山県南砺市訪問
「五箇山和紙」工房を見学した。
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3月1日 簾桁職人(宮木真一氏)を訪問
楮の農園、和紙職人の工房を見学した。
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2月27日 岐阜県美濃市訪問
「美濃和紙の里会館」「美濃手すき和紙の家 旧古田行三邸」を見学した。
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2月15日 筑後市訪問
「久留米かすり 池田絣工房」にて藍染体験をする。
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2月12日 朝倉市訪問
「筑前秋月和紙処」にて井上賢治氏の指導のもと紙すき体験をする。