美術作家 カンボジア

スーン・ヴァナラ Soeng Vannara

2002年度 招へい

1962年、カンボジア、カンダルに生まれる。1995年、ワルシャワ美術学院大学院で修士号を取得。現在、プノンペンの王立美術大学造形学部で絵画を教えている。


[招へい] 2002年6月4日〜2002年9月3日

交流活動

3スーン・ヴァナラは、3カ月の滞在中にカンボジアの凧を制作した。「第2回福岡トリエンナーレ」の交流プログラムに参加し、市内の中学校の美術部員たちと凧を作って揚げるワークショップを実施した。また、「第2回福岡トリエンナーレ」終了後も大きな凧を制作し、右翼をスーン・ヴァナラ自身が、左翼を地元在住の日本画家が描く共同制作をおこなった。また、市民が凧を制作し、揚がりかたを競う選手権「タコカップ2002」を実施したり、音を奏でるカンボジアの伝統的な凧の制作を通して市民との様々な美術交流をおこなった。

活動スケジュール

6月4日 
福岡に到着。早速、滞在中の活動について協議。滞在中に、カンボジアの凧を制作することに決める。
6月5日 
市内の画材店や竹屋などをまわり、凧を制作するための材料を探す。竹、板、和紙、凧糸、アクリル絵の具などを購入する。
6月6日 
「第2回福岡トリエンナーレ」の交流プログラムとして舞鶴中学校美術部の生徒たちと凧を作るワークショップをすることになり、準備を始める。
6月8日 
ボランティア・スタッフとのミーティング。滞在中の活動を説明する。
6月10日 
ワークショップの日。部員たちが先生に引率されて交流スタジオを訪問する。2組に分かれて2つの凧を制作する。(12人参加)当日は完成せず、後日、舞鶴中学校で制作することにする。
6月12日 
舞鶴中学校を訪れ、昼休みに部員たちと凧を制作する予定だったが、部員が集まらず、放課後の部活の時間におこなうことになる。(10人参加)
6月17日 
凧を揚げる場所を探す。アジア美術館に近い冷泉公園で揚げてみるが、四方にビルがあり、風が舞ってうまく揚がらない。バスで百道浜の海岸に行く。まったくの無風だったが、ここで揚げることに決めた。
6月18日
タシ・ペンジョールとリンチェン・ワンギェルの筑紫女学園大学の授業に同行する。終了後、太宰府を散策。
6月20日 
3号倉庫、福岡県立美術館訪問。
6月22日 
凧揚げの日。とても風が強い。凧は空高く揚がったが、あまりの強風のため事故続出。1基は木に引っかかって取れなくなり、もう1基は海に落ちてしまった。(30人参加)
7月7日 
大分へ「大分現代美術展2002 アート循環系サイト」を見に行く。
7月15日 
早朝、博多祇園山笠追山を見物。福岡教育大学の水谷興志教授を訪問。凧の絵を描いてもらう日本画家を紹介してもらう。
7月19日 
日本画家の楢山寿美さんと打ち合わせ。凧の右翼にスーン・ヴァナラがカンボジアの模様を描いた後、左翼に楢山さんが日本的な模様を描くことに。
7月27日 
「タコカップ2002」の説明会。参加者に竹の軸を削り、布に図柄を描き、音を奏でる部分を作る、といった楽器凧の制作過程を説明。参加者は、1カ月間、悪戦苦闘しながら凧を制作することに。(19人参加)
8月14日 
福岡市美術館で「カンディンスキー展」を鑑賞する。
8月30日 
滞在制作作品を公開するため展示作業をおこなう。
8月31日 
滞在制作作品公開。あじびホールでアーティスト・トークをおこなう。(56人参加)      
9月1日 
「タコカップ2002」選手権。百道浜の海岸で凧揚げ。なかなか思い通りに揚がらず苦心する参加者もいたが、うまく揚がった凧は大きな音を奏でながら上空を舞った。スーン・ヴァナラが、デザインと揚がり具合を審査して、表彰をおこなった。優勝は、菅かおるさん。(29人参加)
9月2日 
広島市現代美術館、ひろしま美術館、平和記念資料館を訪問。
9月3日 
帰国。