美術作家 ネパール

リータ・マナンダール Reeta Manandhar

2004年度 招へい

1972年、ネパールに生まれる。トリブヴァン大学美術学部を卒業。現在は、ギャノダヤ・バル・バデイカ高等学校教師。


[招へい] 2004年5月18日〜2004年7月24日

交流活動

あじびホール全体を使った大がかりなインスタレーション「希望の光」を構想。50点を越える顔の絵や、新聞紙と糊でモデリングした巨大な鬼の顔のレリーフなどを次々に制作した。しかし、滞在途中で急遽帰国することになったため、インスタレーションは作者が残した指示に従って美術館スタッフが設置した。

活動スケジュール

5月18日  
福岡に到着。
5月19日  
滞在制作について協議する。インスタレーション「希望の光」を制作し、あじびホールに設置することにする。
5月20日  
九州大学芸術工学研究院、石川幸二教授の授業の一環として、芸術情報設計学科の学生からインタビューを受ける。
5月29日  
ボランティア・スタッフに滞在中の活動予定を説明する。
6月11日  
インスタレーションに用いる苦痛と悲しみを浮かべた顔の絵を、美術館で出会った来館者をもとに描き始める。
7月1日  
福岡県内にあるアートスペース千代福、共星の里、石橋美術館を訪問する。
7月15日  
巨大な鬼の顔のレリーフを制作し始める。
7月22日  
急遽、帰国することになり、急ピッチで制作を進める。
7月23日 
インスタレーションの展示方法について協議する。
7月24日
帰国。
8月7~17日 
「第6回アーティスト・イン・レジデンスの成果展 パート1」を開催。

アーティストの言葉

「希望の光」

 インスタレーションの題名は「希望の光」。この作品で、私は世界の現状を示したかった。戦争と危機はいたるところにあり、人々は苦痛と嫌悪感と苦悩に苛まれています。彼らは失望しています。しかし、私は人々に悲しみや嫌悪感に陥ったままでいてほしくはありません。私たちは、私たちを前へ前へと向かわす希望がまだあることを信じて、このかけがえのない人生をさまざまな困難に立ち向かいながらも、上手に生きていかなくてはなりません。
 悲しみや嫌悪感や苦痛を浮かべた顔が、暗く狭い空間に吊り下げられています。さらに、鬼の顔がこの場所を薄気味悪いものに変えるでしょう。観客は血を暗示する紅い道の上を歩き、苦難にある人々の様々な感情を目の当たりにします。そして、その人々の顔に自らの姿を感じとります。そうして、この道を通り抜けた後、私たちは明るい光、つまり、人々をそれぞれの進むべき道へと導く「希望の光」に出会うのです。

リータ・マナンダール                                 

(訳 高木のぞみ)