コレクション展

アジアの近現代美術―黎明期から現代まで

期間
2023年1月2日 (月) 〜 2023年6月20日 (火)
会場

アジアギャラリー

近代の黎明――洋風画の登場
18世紀末から西洋諸国による植民地化や西洋との通商を経験する中で、アジアの多くの地域では、その土地の風俗や風景、神話などをテーマに、西洋絵画の画材と技法を使った洋風画が制作されます。
これらは、主にアジアを訪れた西洋人に向けて、異国情趣あふれる内容で描かれたものでしたが、やがて西洋的な生活スタイルを取り入れるようになった現地の上流階級の人々にも受け入れられていきます。
ここでは、アジアが西洋近代世界と出会った頃の、東西の要素が融合したエキゾチックで不思議な魅力にみちた作品を紹介します。

近代美術の成立からモダニズムへ
20世紀は、アジアにとり激動の時代でした。ほとんどの地域が、太平洋戦争や植民地からの独立を賭けた闘いを経験し、多くの犠牲をはらいながら近代国家への道を歩みます。このダイナミックで多難な歴史に歩調を合わせて、美術でも近代的な教育や展覧会の諸制度が整えられます。
作家たちは、西洋近代美術にひかれる一方で、自らの社会の現実や伝統文化に技法や素材や題材の源流をさがし、若い国家にふさわしい、且つ西洋とは一線を画す独自の美術表現を模索します。
ここでは、おおよそ20世紀中期までの、アカデミックな近代美術の成立から純粋な造形力を探求した抽象美術(モダニズム)までを紹介します。

現代美術――異形のものたち
高度経済成長の光と影、独裁政権とその反発としての民主化運動などさまざまな社会問題に直面し、さらにグローバル化の波に洗われてきた現代。
作家たちは作品を通して、世の中の不条理や戦争の爪痕などの歴史の残酷をあらわにし、他方でささいな日常の出来事を愛情もって照らし出し、早くからマイノリティへも目を向けてきました。
ここでは特に、ひとの姿を「異形のもの」に変えることで、社会の不条理や政治的な抑圧を暗示した作品に注目します。ユーモラスな姿かたちの奥底には、社会に対して感じる怒りや漠然とした不安、息苦しさ、ひたひたと迫りくる不穏な雰囲気などがよどんでいるでしょう。