アブドゥル・ラハマーン・チュグターイー
消えた炎
アブドゥル・ラハマーン・チュグターイーは、インド独立前からラホールで活躍したパキスタンを代表する画家。オボニンドラナト・タクル(タゴール)などのベンガル派や細密画の伝統、近代日本画、アール・ヌーヴォーなど様々な表現様式を融合させて、独自の様式を確立した。特に、ベンガル派の特質であるウォッシュ・テクニックを使ったうるおいのある色面や優美な線を繊細に表現し、ヒンドゥー教や仏教の神話、イスラームの歴史上の人物、ウルドゥー語やペルシア語の詩のイメージなどを詩情豊かに描いた。この作品は、灯りが消えてもなお恋人を待ち続ける女性を謡った、19世紀のウルドゥー語詩人ミルザ・ガーリブの詩を絵画化したもの。燈台の下に伏せる女性の上には、金色に光る蛾がはらはらと落ちかかっている。火に近づき燃えつきて死ぬ蛾のモチーフは、一途な恋慕の危うさに重ね合わせられ、ペルシア文学や絵画によく現れる。(IR)
作品詳細
作品名 | 消えた炎 |
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作者名 | アブドゥル・ラハマーン・チュグターイー |
制作年 | 1920年代 |
材質/技法 | 水彩・紙 |
サイズ | 61.0×41.0 cm |