特別展

新収蔵品展

期間
2024年4月20日 (土) 〜 2024年6月25日 (火)
会場

アジアギャラリー

当館は、本年3月6日に開館25周年を迎えました。

1999年の開館時に1,131点だった当館のコレクションの総数は、この25年の間に5,496点にまで成長いたしました。

とくに2019年度から23年度にかけては、インド大衆芸術を中心とした多数の作品のご寄贈をいただいたほか、特色ある個人コレクションのご寄贈が続きました。当館のコレクションが、多くの皆さまの暖かなご支援とご協力のうえに充実してきたことに、あらためて思いを致す次第です。

今回の展示では、ご寄贈者への感謝をこめて、この5年間に新たに収蔵した作品のうち、寄贈作品を中心に86点を紹介します。いずれも、アジア近現代美術の歴史や特色を考えるうえで重要な作品です。それぞれの作品をご鑑賞いただくとともに、各コレクターの独自の視点や作品への愛着も感じとっていただければ幸いです。

 

ベトナム近現代絵画~伊藤豊吉コレクションより~
当館では、伊藤豊吉氏より2度にわたり68点の作品をご寄贈いただきました。2012年には韓国現代版画23点、2020年にはベトナム近代絵画41点とタイ現代絵画4点です。
ここでは、1980年代から90年代初めにかけて、伊藤氏が現地に足しげく通って収集されたベトナム近代絵画から25点を選んで展示しています。ベトナム作品は、氏のコレクションの中核をなすため、まさに氏の代名詞的な存在となっています。
なお、当館は現在199点のベトナム作品を所蔵しており、うち5分の1が伊藤氏からの寄贈によります。伊藤コレクションが当館のベトナム部門をより多彩なものにしていると言えるでしょう。

 

ドンホー版画~シンシア・ボーゲル コレクションより~
ドンホー版画は、ベトナム北部ドンホー村に伝わる多色刷りの民衆版画です。
「ゾー」という木の皮からつくられた手漉き紙に胡粉(貝から作られる粉)をひいて光沢をだした上で、図柄を押し摺りする方法でつくられています。多色刷りの最後に墨線の輪郭線が刷られる点を特徴とし、鮮やかな色彩と不揃いな図柄が魅力です。
展示している版画と版木の14点は、2022年にシンシア・ボーゲル氏よりご寄贈いただきました。伝統的な図柄が中心ですが、通常のドンホー版画よりも小型の版が含まれています。

 

中国の教育ポスター~丁未堂コレクションより~
中華人民共和国が成立して以降、中国では多くのプロパガンダを目的としたポスターが作られ、全土に流通しました。代表的なものは、文化大革命の理念を伝えるポスターで、丁未堂コレクションにも、そうしたポスターが若干含まれています。
しかし、同コレクションの核は、むしろ子ども向けの教育ポスターです。1950年代から80年代に制作されたもので、童話や故事の場面を描いたものから学校でのマナーを諭すものまで、内容は多岐にわたります。また子どもの目線を意識してか、作風は柔らかく明るい色彩が使われています。
丁未堂からは、切り絵1点、ポスターと原画98点、磁器の人形1点の合計100点を2020年にご寄贈いただきました。