ジャミニ・ロイ

子鹿

1887-1972年 インド

1900年代初期、インドの独立運動に呼応し、独自の美術を志向した「ベンガル派」というグループがあった。彼らは西洋アカデミズムに対抗し、ヨーロッパの前衛美術や近代日本画の技術を取り入れるなど、様々な実験を行なった。アカデミックな西洋画を学んだジャミニ・ロイは、彼らの影響を受けながらも、1925年頃から独自の路線を歩み始める。それは故郷ベンガル地方の民俗美術に根ざしたものだった。カーリガート寺院の前で売られている素朴な民衆画の様式を用い、限られた色で、対象を大胆に簡略化して描くようになったのだ。『子鹿』に顕著なように、その作品はデザイン的で、かつ愛らしく新鮮な魅力にあふれ、1940年代にすでに人気を博したという。このインド固有の民衆美術に立ち帰るというジャミニ・ロイの姿勢は、後の多くの作家たちに継承された。(YY)

作品詳細

作品名 子鹿
作者名 ジャミニ・ロイ
制作年 1940年頃
材質/技法 グワッシュ・厚紙
サイズ 43.0×30.4 cm