ジャミニ・ロイ
子鹿
1900年代初期、インドの独立運動に呼応し、独自の美術を志向した「ベンガル派」というグループがあった。彼らは西洋アカデミズムに対抗し、ヨーロッパの前衛美術や近代日本画の技術を取り入れるなど、様々な実験を行なった。アカデミックな西洋画を学んだジャミニ・ロイは、彼らの影響を受けながらも、1925年頃から独自の路線を歩み始める。それは故郷ベンガル地方の民俗美術に根ざしたものだった。カーリガート寺院の前で売られている素朴な民衆画の様式を用い、限られた色で、対象を大胆に簡略化して描くようになったのだ。『子鹿』に顕著なように、その作品はデザイン的で、かつ愛らしく新鮮な魅力にあふれ、1940年代にすでに人気を博したという。このインド固有の民衆美術に立ち帰るというジャミニ・ロイの姿勢は、後の多くの作家たちに継承された。(YY)
作品詳細
作品名 | 子鹿 |
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作者名 | ジャミニ・ロイ |
制作年 | 1940年頃 |
材質/技法 | グワッシュ・厚紙 |
サイズ | 43.0×30.4 cm |