タ・ティ
女
タ・ティは、ハノイ出身の画家で、インドシナ美術学校に在籍中(1941-1945年頃)から、フランスの挿絵入り新聞などを通じてヨーロッパ美術の影響を受け、ベトナムの近代美術にキュビスムや抽象絵画の表現をいち早く持ち込んだ。この作品では、スカーフや服装、人物の背景を幾何学的に分割して描くところや、ひとりの人物のなかに、目を閉じて首をかしげる黒髪の女性と、大胆なグレーの髪型と緑の目が印象的な女性とを組み合わせるなど、空間のなかに複数の視点を持ち込むキュビスム的な実験が見られる。1950年代に入り、社会主義リアリズムがハノイの画壇において主流になると、作者はバオダイ政権による徴兵をきっかけに南部へと移り住み、その後はホー・チ・ミンを拠点に抽象絵画や風刺画、詩作など、より幅広い文化活動を展開させた。(KS)
作品詳細
作品名 | 女 |
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作者名 | タ・ティ |
制作年 | 1950年 |
材質/技法 | 油彩・板 |
サイズ | 68.1×55.2 cm |