チェン・ジン(陳進)
サンティモン社の女
チェン・ジンは、日本統治下の台湾に生まれ、女子美術学校で日本画を学び、戦前の帝展や新文展、台湾美術展覧会(台展)で活躍した台湾近代史を代表する女性画家。この作品は、作者が台湾南部の屏東で女学校教師をしていた時に、近くのパイワン族の集落、サンティモン社に取材して制作したもの。1936年の文展鑑査展入選作である。当時、先住民は日本人にとって台湾を象徴するイメージであり、その集落の中でもサンティモン社は近代化が進んだ所として知られていた。作者は、そうした日本人の台湾イメージや日本での知名度を考えて題材を選び、繊細な筆致と上品な色遣いで理想化された女性像を描き出している。作者は「郷土美を表現するつもり」だったと語っており、女性たちの堂々とした姿と、緊密な構成が生み出す張り詰めた画趣に、台湾独自の郷土美を探ったチェン・ジンの姿勢をうかがうことができる。(RT)
作品詳細
作品名 | サンティモン社の女 |
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作者名 | チェン・ジン(陳進) |
制作年 | 1936年 |
材質/技法 | 絹本着色 |
サイズ | 147.7×199.9 cm |