サヤー・ソオ
王室の肖像
19世紀後半、英国は、ビルマ(現ミャンマー)全土を英領インドに併合した。この結果、東はタイ、西は北インドにまたがりインドシナ最強を誇ったビルマ人によるコンバウン王朝の命運も尽きてしまう。この絵に描かれているのは、その最後の王家に連なる人々である。実際の王家の肖像というよりは、彼らが滅んでしまった後に、その宮廷画家の末裔の手で、おそらくは写真をもとに、新しい支配者である英国人の異国趣味を満たすお土産物として描かれたものである。インドのカンパニー派細密画や中国の輸出用絵画(チャイナ・トレード・ペインティング)と同種の、アジアにおける初期洋風画の一例である。背景のマンダレーの町並みの西洋風の奥行きを持った空間表現と、前景の伝統的な操(あやつ)り人形を想わせる理想化された端正な人物像の組み合わせが幻想的な気分を漂わせている。(UM)
作品詳細
作品名 | 王室の肖像 |
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作者名 | サヤー・ソオ |
制作年 | 19世紀末−20世紀初頭 |
材質/技法 | グワッシュ・布 |
サイズ | 54.7×60.2 cm |