
あじびレジデンスの部屋 第2期
- 期間
- 2019年6月27日 (木) 〜 2019年9月24日 (火)
- 会場
アジアギャラリー
福岡アジア美術館では、1999年の開館当初から、毎年アジアの美術作家や研究者を招いて一定期間滞在していただき、市民との共同制作やワークショップ、トークなどをとおして交流をおこなう「レジデンス・プログラム」をすすめてきました。こうした交流により、地域の人々がアジアの美術と文化への理解を深め、アジアの美術交流拠点となることを目指しています。
今年度より、この事業の「これまで」の取り組みを紹介するとともに、現在進行中のプログラムの「いま」をお伝えするため、≪あじびレジデンスの部屋≫を開設しています。ここでは、今年度当館に滞在する美術作家や研究者の活動の様子や、近年の滞在作家による福岡生まれの作品をご紹介します。この展示で、福岡とその近郊に住む人々と美術作家や研究者の間で巻き起こっている刺激的な交流の一端を感じていただければ幸いです。
第2期の今回は、2018年度滞在のキャンディー・バード(台湾)、2019年度滞在のチェオン・キー・チェン(マレーシア)の滞在作品とワークショップの様子、また現在滞在中のハン・ソンピル(韓国)の過去インスタレーション作品の設置記録映像を紹介します。
キャンディー・バード(台湾)
[滞在期間:2月18日~3月30日(41日間)、秋に 2 週間(予定)]
1982 年 台北生まれ、在住
2006 年 華梵大学芸術学部卒業
作者は、2017 年から東アジアの各地で、移住してきた人や自分の場所になじめずに疎外感を抱く人々などを取材して、彼/彼女らに私的な物語を書いてもらい、それらを壁画に描き出すアート・プロジェクト「ジ・アザーズ/The Others」を行っている。福岡では協力者を公募し、その中で出会ったひととインタビューや往復メール書簡などで現在も対話を重ねている。秋には、協力者に書いてもらった自分にまつわる物語をもとに壁画を完成させる予定。
ワークショップ
電車に乾杯!
日 時:3月 8日(金)12:00~13:50
場 所:交流スタジオ
参加者:福岡市立西戸崎小学校
特別支援学級 1~6年生 12人
児童は、はじめにキャンディー・バードから台湾についての話や乗り物の話、これまで制作した作品の話などを聞き、さらに、線画で画面に電車の絵を描くデモンストレーションを見学し、その後、各自が自由に想像した電車の絵を描いた。最後にキャンディー・バードが線路を描き加えて作品を完成させた。
ハン・ソンピル(韓国)
[滞在日程:5月14日~7月19日(67日間)、秋に 2 週間(予定)]
1972 年 ソウル生まれ。ヨンイン在住
韓国の国内外で活躍する美術作家で、日本でも2011 年横浜トリエンナーレ、2018 年清里フォトミュージアムでの展示経験がある。福岡では、昨年、釡山市立美術館で行ったプロジェクト「植物学/ ボタニカ」の第2弾として、福岡の森と苔を被写体にした写真をバナーに印刷し、街中に設置する大型インスタレーションを発表予定。これまで南極、北極を含め世界各地を撮影してきたハン・ソンピルは「環境問題について問いかけるとともに、福岡の人々にとって都市生活を見直し、環境に思いをはせる機会になってほしい」と話す。
チェオン・キー・チェン(マレーシア)
[滞在日程:5月7日~6月6日(31日間)]
1981 年 クアラルンプール生まれ、在住
シンガポールで開催された「ユナイテッド・オーバーシーズ銀行絵画賞2018」にて、マレーシア部門最優秀賞を受賞。5月7日より1カ月間という短い滞在の中で、博多部や壱岐などを歩いて回り、今も残る神話の断片を拾い集めて、神々や女性、木々や鳥などの自然を細かなタッチで描き出す作品14点を制作した。また、八女の NPO 法人山村塾の協力を得て、2012年に水害に見舞われた奧八女を訪れ、土地の人に話を聞いて滞在制作を行った。
八女市黒木町笠原地区での調査および作品制作
マレーシアで九州北部豪雨の被害を知ったチェオン・キー・チェンは、福岡に来る前から、今回の滞在では実際に現地を訪れて作品制作を行いたい、できれば現地の方にも創作に関わって頂いただきたいとの思いを持っていた。そこで今回、当時最も大きな被害を受けた場所のひとつである八女市黒木町笠原地区を訪問した。調査にあたっては、長年笠原地区で環境を守る取り組みを続けてきたNPO法人山村塾に協力をいただいた。一度目の訪問では、現在の現地の様子を見せてもらい、二度目の訪問では、笠原地区在住の 3人に当時の状況などについてインタビューを行った。そして、水害の経験を経た現在の思いなどを文字のメッセージとして自由にキャンバスに記していただき、チェオン・キー・チェンがその画面にインタビューをもとにした絵を描き、作品を完成させた。
会場 | アジアギャラリー |
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観覧料 | 一般200円(150円) 高校・大学生150円(100円) 中学生以下無料 |
主催 | 福岡アジア美術館 |
問い合わせ | Tel:092-263-1100 |