福岡市・ヤンゴン市姉妹都市締結記念 ようこそ、ミャンマー美術へ!
- 期間
- 2017年8月31日 (木) 〜 2018年1月9日 (火)
- 会場
アジアギャラリー
はじめに
2016 年 12 月、福岡市とヤンゴン市は姉妹都市の締結をしました。それを記念し、本展では、19 世紀末から現代までのミャンマー美術のあゆみを約30点の所蔵作品でふりかえります。
福岡アジア美術館では、1999 年の開館当初からミャンマー美術の紹介、また作家を招聘して作品制作をおこなうなど美術交流を続けてきました。現在、当館ではアジア 23ヵ国・地域の近現代美術作品を 2900 点所蔵していますが、そのうち71作品(36作家)がミャンマーの作品です。本展では、英領時代にミャンマー最後の王朝の宮廷を描いた洋風絵画から、黄金のパゴダに代表される麗しい仏教国のイメージ、そして社会問題に関心をおいた現代の作品などを紹介します。また、これまで福岡に滞在して、作品制作をしたミャンマーの作家についてもあわせて紹介します。
ミャンマーといえば、パゴダ!
ヤンゴンの街にそびえるシュエダゴン・パゴダ。町のあちこちから、光り輝く黄金の仏塔が見えます。絶えず、熱心な参拝客が訪れ、ヤンゴン最大の観光地でもあります。そんなヤンゴンの町を象徴するシュエダゴン・パゴダは、それぞれ異なる時期の作家たちの眼にどのように映ったのでしょうか。
英領期の洋風画
1886 年、ビルマ(現ミャンマー)全土が英領インド帝国に併合され、最後のコンバウン王朝は滅びました。この王朝に仕えていた宮廷画家の末裔たちは、王朝の家族や仏陀の生涯を描いた絵画を、仏教の祭事(僧侶の葬式など)で展示するようになりました。背景の町並みは奥行きのある西洋画的な空間表現がなされる一方、前景の人物像はミャンマーの伝統的な操り人形を思わせる姿で描かれています。そして、次第に写真の影響を強く受けて、より人物の表情が写実的になっていきます。
20 世紀前半になると、宗主国であるイギリスの美術の影響を受け、ヨーロッパへ留学したウ・バニャン(1897-1945 年)やウ・バジ(1912-2000 年)らによって、西洋的な手法を取り入れた近代絵画が展開していきました。
独立後の美術
1948 年の独立後は、1952年に国立美術学校(ヤンゴンとマンダレー)、および国立美術館が設立され、美術をめぐる制度が整えられていきます。風刺漫画家としても幅広く活躍したポーウーテッや抽象画にいち早く取り組んだウ・キンマウン(現在、シンガポール国立美術館に当館所蔵作品を貸出中)らは、独立後の第一世代の画家として、現在活躍する作家たちの師となっています。1985 年に福岡市美術館で開催した「第 2 回アジア美術展」には、ナインウィンやテインルインら、アカデミックな手法で描いた絵画を中心に20名の画家が出品しました。
福岡アジア美術館に来たミャンマー作家たち
福岡アジア美術館には、これまで多くのミャンマー作家が「美術作家招聘事業」や福岡トリエンナーレの「交流プログラム」で滞在し、作品制作やパフォーマンス、ワークショップをおこなってきました。2004 年に当館で滞在制作したミョタンアウンをはじめ、パフォーマンスの映像記録もあわせてご紹介します。
1999 年 ポゥポゥ
(第1回福岡アジア美術トリエンナーレ)*本展出品
2002 年 トゥンウィンアウン
(第2回福岡アジア美術トリエンナーレ) *本展でパフォーマンス映像を展示
イェミャッアウン[マンダレー文化博物館館長補佐(当時)]
(研究者招聘事業)
「美しきミャンマー展」(2002年8月31日~9月16日、交流ギャラリー)を開催
2004 年 ミョタンアウン
(美術作家招聘事業)*本展出品
2005 年 ワーヌ
(第3回福岡アジア美術トリエンナーレ)*本展出品
ピョージー
(第3回福岡アジア美術トリエンナーレ)*本展出品、パフォーマンス映像を展示
2009 年 アウンコ
(第4回福岡アジア美術トリエンナーレ)
2010 年 アウンミャッティ
(美術作家招聘事業)*本展でパフォーマンス映像を展示
ガンゴー・ヴィレッジ・アート・グループ
ラングーン文理科大学(現在のヤンゴン大学)内にあった美術クラブを母体に、同大学の学生や卒業生を中心に1979年に発足したミャンマー最初期の現代美術グループです。1988 年の大規模な民主化運動以降、活動を一次休止しますが、2000 年に再開してから現在まで続いています。今年2017 年には、「第 28 回ガンゴー・ヴィレッジ展」が開催されました。ここで紹介する4作家は、その初期からのメンバーの近作です。
福岡アジア美術館では、2012年にグループの活動に焦点をあてた「現代アジアの作家Ⅵ ガンゴー・ヴィレッジと1980年代・ミャンマーの実験美術」展を開催し、同グループ代表のサンミンが福岡でトークをおこないました。
| 会場 | アジアギャラリー |
|---|---|
| 観覧料 | 一般200円(150円) 高校・大学生150円(100円) 中学生以下無料 |
| 主催 | 福岡アジア美術館 |
| 問い合わせ | 福岡アジア美術館 Tel:092-263-1100 |