コレクション展

うるわしきイスラーム・スタイル

期間
2015年3月26日 (木) 〜 2015年5月26日 (火)
会場

アジアギャラリーA

イスラームの美術といえば、モスクを飾るアラベスクのうるわしい装飾を思い浮かべるでしょうか。そうした突き詰められた静謐で抽象的な文様だけでなく、アジアのイスラーム世界では多様な美術表現がなされてきました。イスラーム(イスラーム教)は、7世紀はじめにアラビア半島のメッカに興りました。その後、中東からアジア、世界各地に広がり、現在16億人が信仰しているといわれています。

アジアでは、パキスタン、バングラデシュ、インド、マレーシア、インドネシア、ブルネイといった国々に多くのムスリム(イスラーム教徒)が住んでいます。そもそも、イスラームとは、アラビア語で「神への絶対的な服従」を意味します。唯一神アッラーが人に授けた法を遵守することを大切にしていて、その拠りどころとなるのが聖典コーラン(クルアーン)です。そのコーランでは、偶像崇拝を禁じており、神の姿かたちを表現し、崇めることは行われません。ただし、彫刻や絵画の制作のすべてが禁じられているわけではなく、世俗のイスラーム美術では、人物や動物の表現を含む作品が自由に作られてきました。

本展では、イスラームの宗教美術ではなく、アジアのイスラーム世界に生きる現代の美術作家による約20点の作品を紹介します。イスラーム美術に特徴的なカリグラフィー(書)や幾何学文様の装飾性を生いかした表現を、パキスタンやマレーシアの絵画作品に見ていきます。また、社会が抱える問題を鋭く指摘する人物を含めた具象的な表現を、主に南アジアの絵画作品で紹介します。それらの作品では、長く続くヒンドゥーとムスリムの宗教対立やイスラーム社会が抱える問題を、細密画や大衆美術的な表現を用いて表わしています。

本展をとおして、アジアのイスラーム世界の多様に広がる美術表現をご覧いただければ幸いです。