東京・ソウル・台北・長春――官展にみる近代美術
- 期間
- 2014年2月13日 (木) 〜 2014年3月18日 (火)
- 会場
企画ギャラリー
本展は、20世紀前半の日本、韓国[旧朝鮮]、台湾、中国東北部[旧満洲]で開かれた官設の公募美術展覧会(官展)をとおして、これらの地域の美術の近代化を紹介する初めての展覧会です。
当時、朝鮮や台湾、満洲は、日本の統治下・影響下にあり、日本式の制度やインフラが整備されていました。美術においても、1907年に東京で始まった文部省美術展覧会の制度が各地に導入され、1922年にはソウル[旧京城]で朝鮮美術展覧会が、1927年には台北で台湾美術展覧会が、そして1938年には長春[旧新京]で満洲国美術展覧会が始まっています。
本展では、当時もっとも華々しく開かれたこれらの官展を、四つのコーナーの総数93作家129点により振り返ります。各コーナーでは、西洋に発した近代美術が各地に根付き、各々の伝統や美意識にあわせて変化しながら、西洋画や彫刻のみならず伝統絵画においても、それぞれ独自の近代美術が形成された様子をご覧いただけます。また、各作品からは画家の関心や表現の工夫なども見えてくるはずです。
1─官展ってどんなもの?
【文展・帝展】日本では、1907年に東京で文部省美術展覧会(文展)が始まります。その後、1919年に帝国美術院展覧会(帝展)へ、さらに1936年から再び文部省美術展覧会(新文展)へ引き継がれ、1944年まで開催されました。日本画、西洋画、彫刻の三部制で、1927年から美術工芸が加わりました。戦後は日展に受け継がれています。【朝鮮美展】1910年の韓国併合により日本の統治下におかれた朝鮮では、1922年から44年まで、ソウル[旧京城]で朝鮮総督府主催の朝鮮美術展覧会(朝鮮美展)が開かれました。東洋画、西洋画、彫刻、そして朝鮮美展の特色になる書・四君子(蘭・竹・菊・梅を描いた絵画)の四部制でしたが、1932年からは書・四君子に代わり工芸が設けられました。【台展・府展】1895年に日本に割譲された台湾では、1927年から、台北で台湾教育会の主催により台湾美術展覧会(台展)が台北で開かれ、1938年からは台湾総督府美術展覧会(府展)へ引き継がれました。1943年まで続いた台湾の官展は、他とは異なり東洋画と西洋画の二部制でした。【満洲国展】1932年に、日本政府の強い影響のもと中国東北部に建国された「満洲国」では、1938年から長春[旧新京]で、満洲国民生部の主催・日満文化協会の運営により満洲国美術展覧会(満洲国展)が始まり、1944年まで続きました。朝鮮美展を参考にしたと言われ、東洋画、西洋画、美術工芸、書の四部制でした。
2─日本と朝鮮・台湾・満洲の官展
朝鮮や台湾、満洲の官展は、文展・帝展の制度にならって作られ、審査には日本画壇の重鎮が招かれました。このような日本人主導による開催には各地の作家から反発もありました。一方で、官展によって展覧会という仕組みが各地に根付き、重要な作家と作品が多く生み出され、官展は各地の近代美術の形成の基礎の一つにもなりました。このように両面性のあった官展ですが、日本でも韓国や台湾、中国東北部でも、官展をとおして西洋に発した近代美術が普及し、同時に各地の伝統を刺激して日本画、韓国画、台湾東洋画(膠彩画)などのジャンルが成長しました。また作家たちは、文展・帝展系の写実的な表現や西洋のモダンな表現を摂取しながら、民族の文化や生活や伝統的な美意識に基づいて個性豊かな表現を確立していきました。
会場 | 企画ギャラリー |
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観覧料 | 一般1,000(800)円 高大生800(600)円 中学生以下無料※( )内は20人以上の団体・前売り料金。この料金でアジアギャラリーの展示もご覧いただけます。※次の方は無料になります。身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳の保持者本人と介護者1人、特定疾患医療受給者証・先天性血液凝固因子障害等医療受給者証・小児慢性特定疾患医療受診券の保持者本人。※この料金で、アジアギャラリーの展覧会(コレクション展)もご覧になれます。▮前売り券販売 ローソンチケット(Lコード82625)などで発売 |
主催 | 福岡アジア美術館 読売新聞社 美術館連絡協議会 FBS福岡放送 |
問い合わせ | 福岡アジア美術館 Tel:092-263-1100 |