コレクション展

記録としての芸術――近代史を見る眼

期間
2014年1月30日 (木) 〜 2014年4月22日 (火)
会場

アジアギャラリーB

 美術作品は、時代の目撃者です。現実の社会で起きた事は、絵画や写真という作品に記録され、後世に伝えられてきました。本展では、アジアの植民地支配や戦争など、多くの人々を巻き込んだ出来事に表現をとおして向き合う作家を、約20 作品で紹介します。
 
 ウォン・ホイチョンは、日本占領下のマレーシアで日本軍の捕虜となった青年(作者の父)の経験に基づいたシリーズ作品に20 年以上取り組んでいます。1989 年に戦争の悲惨さをややストレートに訴える《粛清》を発表した後、2009 年の《暗い穴》では実写とアニメーションを組み合わせた映像で、歴史の複雑な力関係によって隠された物語を見出そうとし、重層的な事実のひだに分け入ります。リー・ダラブーは、カンボジアのポル・ポト政権下の歴史資料をもとにした作品《メッセンジャー》をとおして、記録や歴史が人によって「作られる」ものであることを訴えます。また、沖縄に拠点をおく比嘉豊光と山城知佳子は、戦争、占領、米軍基地と翻弄され続ける沖縄の過去化されることない現実を、異なる世代か
らそれぞれの視点でとらえます。
 
 現代に生きる作家たちが、今の地点から近代史を振り返り再考する姿勢からは、ある事実を記録するだけではなく、人々の記憶に長く訴えかけるような力をもつ美術を残そうとする姿が見えてくるでしょう。
 
 なお、最後のコーナーでは、特別展「東京・ソウル・台北・長春 ̶ 官展にみる近代美術」[2 月13 日(木)~3 月18 日(火)]の開催に合せて、太平洋戦争と日本の占領に関わりのある東南アジアの作品を紹介します。