《子鹿》のふるさと――フォーク・アートとアジアの美術
- 期間
- 2013年10月3日 (木) 〜 2013年12月25日 (水)
- 会場
アジアギャラリーA
あじび(当館の愛称)のキャラクターともいえる愛らしい《子鹿》。《子鹿》は、1940 年代の初め頃、インドの東部、ベンガル地方に生まれました。アーモンド形の大きな目と、一筆描きのような大胆で太い身体の線が特徴的です。作者のジャミニ・ロイは、カルカッタ(現在はコルカタ)官立美術学校でアカデミックな西洋美術を学びましたが、その後、故郷ベンガル地方のフォーク・アート(民俗芸術)に回帰し、独自のスタイルを確立しました。特にその筆使いは、コルカタのカーリガート寺院の前で、参拝客向けのお土産として売られていた素朴な民画など、ポト絵と言われるベンガルの民俗画の様式を取り入れたものです。ジャミニ・ロイの限られた色で対象を大胆に簡略化して描くスタイルは、人々の評判を呼び、多くの追随者が出ました。
ジャミニ・ロイのように、大学など専門的な機関で美術を学んだ作家が、職人や地域の人々によって作られてきた民俗芸術を深く学び、作家の作品に取り入れるという試みは、インドのみならず、アジア各地で行われてきました。特にアジア各地が欧米の植民地から独立した後には、自分たちのアイデンティティを問い、アジアに固有の文化や伝統をテーマとした作品が見られました。また、90 年代に大量生産、消費社会が進み、外部から圧倒的な
グローバル経済の波が押し寄せると、その一方的に受ける影響を批判し、自分たちらしい生き方を模索しようとする作家たちの態度が鮮明になっていきます。
本展では、インドのほかに、中国の切り絵に学んだリュ・シェンジョン(呂勝中)や彼の学生だったウー・ジエンアン(鄔建安)、またインドネシアの影絵芝居(ワヤン・クリ)に学んだヘリ・ドノやハリアディ・スワディ、同じインドネシアでも儀式の際の女性の髷(コンデ)の形とジャワ籐細工を融合させたニンディティオ・アディプルノモ、そしてフィリピンのルソン島の呪術的な伝統文化に学んだジョン・フランク・サバドなど9作家を、約20 点の作品で紹介します。アジアの美術作家が、民俗芸術を深く学び、その様式、技術、素材を現代美術作品のなかに取り入れることによって、新しく美術の魅力を作り出した試みをじっくりとご覧ください。
| 会場 | アジアギャラリーA |
|---|---|
| 観覧料 | 一般200円(150円) 高校・大学生 150円(100円) 中学生以下無料 |
| 主催 | 福岡アジア美術館 |
| 問い合わせ | 福岡アジア美術館 Tel:092-263-1100 Fax:092-263-1105 |