コレクション展

ベトナム・うるわし・なつかし

期間
2013年7月4日 (木) 〜 2013年10月1日 (火)
会場

アジアギャラリーA

なつかしの暮らし、うるわしい女性たち

陽光ふりそそぐ穏やかな農村風景、ゆったりとした時間の流れのなかに佇むアオザイに身を包んだ女性。

フランスの植民地だったベトナムは、美術においても、ヨーロッパの文化の影響を受けながら、独自のスタイルを作り上げてきました。1925 年に東南アジア最初の美術学校であるインドシナ美術学校が設立されて以降、ベトナムの作家たちはフランス美術(油彩)を学ぶ一方で、漆や絹などベトナムの伝統的な素材や技法を用いた表現を築き上げてきました。もともとは装飾のための工芸の素材として使われた漆による絵画には、つやつやとした深みがあり、どこか素朴ななつかしさが感じられます。また、絹絵には布に色がしみ込むことでかもし出されるやわらかな風合いがあり、透けるように繊細な色使いのベトナムらしい表現方法のひとつとなりました。

ベトナムの美術では、植民地や戦争の時代をこえて、穏やかな山村、田園風景が描かれてきました。作家たちは自然のなかで家畜とたわむれた子ども時代を思い出し、またそこでの人々の暮らしを温かく見つめています。

もうひとつ、しばしば絵画の題材となってきたのが、女性の姿です。女性たちはアオザイに身を包み、ゆったりと身体を横たえ、そっと首をかしげたうるわしい姿で描かれました。一方、ベトナム戦争中の戦意高揚ポスターに描かれる女性は、武器を持つ逞しい姿ですが、その傍らには常に花が描かれ、うるわしさを失いません。

本展では、ベトナムの近代絵画を中心に、当館の所蔵作品と寄託作品をあわせて、約30 点の作品で、なつかしく、うるわしいベトナム美術の魅力を紹介します。