レジデンス成果展示

あじびレジデンスの部屋 第Ⅰ期 記憶のなかの歴史―スティー・クナウィチャヤノン

期間
2023年3月23日 (木) 〜 2023年6月20日 (火)
会場

アジアギャラリー

「あじびレジデンスの部屋」では、「福岡アジア美術館美術作家招へい事業」(1999年開館〜)や「福岡アジア美術トリエンナーレ」で福岡にやってきたアーティストの滞在中の活動やその後の活躍などを紹介します。

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はじめに

「第2回福岡アジア美術トリエンナーレ2002」では、タイの美術作家スティー・クナウィチャヤノンが、福岡に滞在しました。クナウィチャヤノンは、1990年以降の急速な社会的、政治的変化にともなうタイとそれ以外の国々におけるナショナリズムや権力、アイデンティティを批判的に探求しており、社会における風習や記憶の中の曖昧な歴史について、見る人に参加を促すような作品を制作しています。

2000年にバンコクの民主記念塔前で初展示された《歴史の授業》は、学校の机にタイの歴史を彫り込んだインスタレーションで、観客は鉛筆でこすりとることによって、机の図像を写し取ることができます。その2年後に開催した「第2回福岡トリエンナーレ」では、福岡の人々にインタビューを行い、1945年の「福岡大空襲」についての記憶を、言葉とイメージを用いて作品化しました。

本展では《歴史の授業 福岡》の公開制作の過程と、完成後にキャナルシティ博多で開催したワークショップの様子を紹介するほか、タイの文化や風習を批判的に表現した作品《永遠なる不毛 3》も展示します。

 

福岡での滞在制作作品《歴史の授業 福岡》

【滞在期間】 2005年8月25日~11月29日

≪公開制作≫

ボランティア・スタッフへのインタビューから、福岡大空襲の話に興味を持ち、作品テーマとした。交流スタジオで、戦争についてのイメージや言葉を用いた下絵を制作して、机に彫刻刀で彫っていった。

≪ワークショップ≫

キャナルシティ博多でワークショップを開催した。

 

スティー・クナウィチャヤノン Sutee Kunavichayanont

1965年バンコク生まれ。1989年にシラパコーン大学で美術学士号を取得後、シドニー大学で視覚芸術の修士号を取得。宗教的、政治的、社会的テーマについて、様々なメディアを用いた遊び心のある手法で観るものを惹きつける。タイ、シンガポール、韓国、オーストラリア、日本、英国、オランダなどで幅広く作品を発表している。