リー・ダラブー《伝令》2000 / 2005年

コレクション展

あじびコレクションX-Ⅲ「POSTWAR / 戦後」

期間
2023年1月2日 (月) 〜 2023年6月20日 (火)
会場

アジアギャラリー

 制作年・場所・主題・技法・作者などの共通項から2-3 点の作品を選び出し、対比することによって、それぞれの作品世界を紐解くコーナー展示です。

POSTWAR/戦後
 日本人にとっての「戦後」は、第二次世界大戦が終結した1945年8月に始まった。しかしすべての国の人々が同じ年に戦後を迎えたわけではなく、これ以降も戦争の惨禍に巻き込まれた国は多い。

 東南アジア、特にインドシナ半島の人々にとって、20世紀後半にはかり知れない影響を与えた戦争といえば、なんといっても「ベトナム戦争」だった。アメリカの支援を受けた南ベトナムと社会主義を掲げた北ベトナムに分かれて、壮絶な戦闘が繰り広げられた。1975年に北ベトナムの勝利で終結したとはいえ、いまでもその傷跡は国のそこかしこに深く、あるいはひっそりと残り続けている。グエン・チン・ティが露わにしようとしたのは、「歴史の静かな目撃者としての風景」と人々の記憶のなかにある戦争だった。

 一方、隣国のカンボジアでは、ベトナム戦争末期にポル・ポト率いるカンボジア共産党が政権を掌握。恐怖政治で民衆を支配した。1975-1979年の短い間にも関わらず、おびただしい数の人々が虐殺された。その喪失と苦痛は、いまも社会から消え去ることはない。ふたりのアーティストの作品から、アジアにとっての「POSTWAR/戦後」について考える。