台湾の女性日本画家 生誕100年記念—陳進

期間
2006年7月30日 (日) 〜 2006年9月10日 (日)
会場

企画ギャラリー

1895年、日本の植民地支配下に置かれて以後、今日まで、台湾は、政治的に中国大陸と異なった道を歩んだばかりでなく、文化・芸術の面でも独自の展開を遂げてきました。民主化・自由化が進む現在の台湾において、台湾人としての共通認識を持つ傾向が強まる中、美術の分野においても、「中国美術」ではなく「台湾美術」という考えが形成され、日本統治時代の美術に対する研究が進んでいます。陳進もまた、日本統治時代に活躍を始めた画家のひとりであり、二十世紀の台湾美術の発展に大きな足跡を残しました。

1907年、台湾の裕福な家庭に生まれた陳進は、台北第三高等学校で日本画家・郷原古統の教えを受けた後、女子美術学校(現・女子美術大学)に留学、卒業後は、鏑木清方の門に入り、清方、伊東深水などに学びます。在学中に第一回台湾美術展覧会に入選したのをはじめとし、1934年の第15回帝展に台湾女性として初入選、その後も、帝展、文展での入選を重ねるなどして活躍。戦後の台湾では、中国の伝統的絵画である国画と東洋画(=日本画=膠彩画)との対立の中で制作に悩むことになりますが、結婚、母親となって以後は、家庭生活を主題に制作をつづけ、1998年に台北に没するまで台湾女性画家の頂点として活躍しました。

本展では生誕百年を記念し陳進の代表作を含む絵画77点と素描26点、および同時代の日本人画家の作品26点を展示し、その優れた画業を回顧するとともに、二十世紀において独自の道を切り開いた台湾絵画についても考察します。