白と黒がつくる世界
- 期間
- 2011年9月29日 (木) 〜 2011年12月25日 (日)
- 会場
アジアギャラリーA
鉛筆によるドローイング(素描)。荒々しい彫りあとを残した白黒の木版画。フィルムで撮影されたモノクロの写真。数ある色の中で、作者があえて白と黒を選ぶとき、そこにはどんな意図がこめられているのでしょうか。
本展では、当館の所蔵品の中から、水墨、油彩、鉛筆、木版、写真、ビデオなど、白と黒を基調とした作品を集め、シンプルなようで実は多彩で奥深い、白と黒の世界を巡ります。
【水墨】
水墨画や書は、東アジアで最も古くから親しまれてきた白黒の表現です。無限の諧調をもつ水墨の濃淡や、「かすれ」や「にじみ」などの技法は、時に色を駆使した作品以上に豊かな表情をみせます。韓国のソ・セオク(徐世鈺)は、水墨の伝統をふまえながら、その革新を目指し、一貫して水墨による抽象表現に取り組んでいます。
【油彩】
水墨を連想させる、二人の画家の作品を紹介します。韓国のユン・ヒョングン(尹亨根)は、キャンバスにしみ込み、したたり落ちていく油絵の具のシミをそのまま残す手法で、墨が微妙ににじむ水墨画を想起させます。仏教的世界観に基づく独自の作風を切り開いたタイのタワン・ダッチャニーは、白と黒を使った大画面による油彩画を数多く制作しています。その強烈なコントラストにより、聖と俗、生と死、静と動、光と影といった相反する要素が拮抗する世界を描き出し、圧倒的な力で迫ります。
【鉛筆】
何かを書きたい/描きたい、と思ったとき、私たちのもっとも身近にある鉛筆。しかし、同じ鉛筆を使っても、作家によって異なる表現がみられます。インドネシアのヴァルター・シュピース(入口の作品)は、鉛筆による細密な描写と微妙な明暗によって詩情あふれる光景を描き出します。それとは対照的に、シンガポールのタン・ダウ(唐大霧)は、鉛筆の線が持つ勢いを活かした荒々しいタッチで、社会的なテーマに取り組みます。また、韓国のパク・ソボ(朴栖甫)は、鉛筆特有の軽々とした自由な線で画面全体にリズムを作り出し、ノートの端に残された落書きのような、無作為の痕跡を、そのまま作品に活かしています。
【版画】
不条理な戦争がもたらした犠牲の現実。社会と折り合いのつけられない若者の孤独な心理。社会の底辺に生きる庶民の日常。ここで紹介する日本、中国、シンガポールの作家による白黒の木版画は、それぞれ向き合うテーマは異なりますが、彫刻刀という「ナイフ」を手にした作家の何かを切り開きたいという意気込みが感じられ、ひたむきな力強さをたたえています。
【写真】
白と黒の諧調だけで表現されるモノクロ写真では、カメラと対象との独特の距離感や光の美しさが特徴的です。中国のガオ・ボー(高波)が写したチベットの人々の眼光は、モノクロの画面だからこそ鋭く際立ち、従来のチベットを対象にした写真を乗り越えようとする作家の姿勢が見られます。また、沖縄の祭祀を記録した比嘉豊光の写真では、祭祀をとりしきる女性の上に降り注ぐやわからな光が生命力に満ちた崇高な空気をかもし出しています。
| 会場 | アジアギャラリーA |
|---|---|
| 観覧料 | 一般200円(150円) 高校・大学生 150円(100円) 中学生以下無料 |
| 主催 | 福岡アジア美術館 |