アジアの「夢十夜」
- 期間
- 2011年3月24日 (木) 〜 2011年7月5日 (火)
- 会場
アジアギャラリーB
目を閉じれば、うとうとと夢の世界をただよってしまう季節です。明日を願う夢もあれば、この世とは思えない幻想的な夢の世界、また先の見えない現実世界の不安が呼んでしまう悪夢もあります。本展では、夢をキーワードに、主に現代のアジア各地で描かれた32点の作品を紹介します。作品のなかの主人公たちの姿や、作品のタイトルから想像をふくらませて、いくつもの物語を追いかけてみましょう。
空想の旅
夢のなかでは、どんな旅も空想の力で実現してしまいます。作家たちは、いったいどこへ空想の旅に出たのでしょうか。台湾のウ・ティエンチャンは、レトロな写真を使った作品で、過ぎ去った古き良き昔へ、幸福だったあの頃へと旅をします。中国のハァ・ユンチアンは、実際には自分の身体を束縛したうえで、しかし精神は福岡から富士山までの想像の旅をするパフォーマンスを行っています。また、チー・パンは、現実世界にデジタル写真加工で、非・超現実的なものを描き込み、別の新たな世界へと飛ぼうとします。
シュールな世界
私たちが眠りのなかでみる夢は、どこかつじつまがあわなかったり、ふつうではありえないもの同士が不思議なつながりを持っていることがあります。このコーナーでは、そうした夢の中のシュルレアル(超現実的)な世界を紹介します。スー・シンピンは、内モンゴルの広大な草原と無表情な人間を対峙(たいじ)させることで、人間の精神を象徴的に描き出します。色を抑えた淡いモノクロームの表現が、より一層現実を超えた世界へと見る者をいざないます。フィリピンのドン・サルバイバは、「バクを飼いならす」というタイトルにあるように、想像上の生物、バクが食べたであろうさまざまな夢をシンプルなドローイングで表します。
幻想の風景
自然は、夢と結びついて、さまざまな幻想の風景を生みだします。自然のなかに身を置き、空を眺め、木々のざわめきを聞くなかで、現実にはない幻想の風景がみえてきます。ミャンマーのワー・ヌは、夢見ごこちな少女が、現実と幻想の間をゆらゆらと行き来するさまを、林の木漏れ日やちいさな蟻が壁をはう姿を通して、優しく描き出します。ベトナムのディン・ティン・タン・プーンの描く、木々の葉と人の身体とが溶け合ったような少女の姿からは、どこかファンタジーやノスタルジックな気持ちをおこさせる柔らかな幻想世界が広がります。
そして、現実の悪夢
夢といっても、あいまいなぼんやりとしたものだけではなく、現実社会があまりに生き難く、過酷であり、人々にとって現実こそが悪夢となることもあります。アジアでは、植民地の歴史や、独立後も宗教や民族の問題などを抱えてきました。フィリピンのロベルト・フェレオは、フィリピンに侵入してきたいくつもの外国を、自分たちの安眠を脅かす悪夢として象徴的に描きます。マレーシアのタン・チンクァンは、人間の欲望や不安がうずまく90年代のマレーシア社会を悪夢とし、またバングラデシュのナズリー・ライラ・モンスールは、夢のように美しいルイス・カーンの建築の中で起きる悪夢のような現実の出来事を描いています。
| 会場 | アジアギャラリーB |
|---|---|
| 観覧料 | 一般200円(150円) 高校・大学生 150円(100円) 中学生以下無料 |
| 主催 | 福岡アジア美術館 |