近代美術シリーズⅥ 郎静山の写真-構成された伝統

期間
2011年10月13日 (木) 〜 2011年12月13日 (火)
会場

アジアギャラリーB

アジア各地で近代美術への道を切り開いた個人・グループを紹介するシリーズの第6回展として、主に上海と台北で活動した写真家・郎静山[ロン・ジンサン](1892~1995)を、日本で初めて本格的に紹介します。
郎は、1930年代の上海時代から、山・樹木・人 物・動物などを個別に撮影したネガをひとつの画面にプリントするフォト・モンタージュ(集錦)技法によって、自然と人間が一体となった理想的な風景の写真を制作し、中国文化圏を代表する写真家として 高い評価を受け、1949年に台北に渡った後も世界 各地で発表を続けました。

通常のドキュメンタリー写真とは異なる、中国的ピクトリアリズムといえる郎の写真は、深い精神性とすぐれた造形性によって、今もなお新鮮な驚きと感動を与えてくれます。また彼の作品は、写真という現代的な技術を用いながらも丹念な暗室作業によって伝統的な中国絵画の美学を現代によみがえらせたことにより、「伝統美術の現代的な再生」というアジア美術に広く見られる問題を考える契機となります。