イ・デワ・プトゥ・モコ
ワニと友だち
バリ島は、イスラーム教徒が大多数を占めるインドネシアにあって、唯一ヒンドゥー教を信仰し、独特の伝統芸能が栄える島である。美術の領域でも1930年代に西欧からきた美術家たちの影響を受けて、それまでの宗教画を脱し、バリの日常にひそむ魔霊や怪物の跳梁する魅力的な絵画を生み出した。それから半世紀が過ぎて、イ・デワ・プトゥ・モコがバリ絵画の新たな世界を作り出す。彼は、日常のたわいない情景を、ユーモラスに、ときにエロティックに、独自の視点から描き出す。ありふれた光景が、作者の手にかかると、ふしぎな生き物の気配を漂わせ始める。この絵は、作者によれば、テレビで見たワニをペットにする少女の映像を忠実に描いたものであるという。その絵筆は、いつも日常のひとこまを描きながら、わたしたちを、あるはずのない場所に運んでいく。(UM)
作品詳細
作品名 | ワニと友だち |
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作者名 | イ・デワ・プトゥ・モコ |
制作年 | 1992年 |
材質/技法 | アクリル・画布 |
サイズ | 60.0×88.1 cm |