アーティストは「孤高の天才」というイメージがありませんか?
ときとして彼らは、美術に対する考え方や価値観を同じくする人々とグループを作り、お互いにアイデアや情報を交換したり、展示の機会を共有することでその才能を磨いてきました。とくにアジアでは、自由な作品発表の場所など長らくアートにおけるインフラが整っていなかったため、作家どうしのネットワークが制作を継続するうえで、とても重要な役目を果たしてきました。戦争や内紛のため制作の材料が入手できなかったり、公的な美術館のサポートが十分でなかったり、さらには検閲による表現への規制など、さまざまな不自由を抱えてきたのです。
こうした環境のもと、アジアには多数の美術グループが誕生し、有効なネットワークが形成されてきました。その活動は、スペースを持って活動するものから、一過性のイベントやパフォーマンスが中心のもの、社会運動とともに盛り上がりを見せるものや、世代を超えて受け継がれるものまで様々です。これらの活動からアジアならではの、ダイナミックなアートと社会の関係を垣間見ることができます。本展では、東南アジアの6つの現代美術のグループと、そのメンバーによる作品を紹介したいと思います。
【美術グループ】
・ガンゴー・ヴィレッジ・アート・グループ(ミャンマー)
・インドネシア・ニュー・アート・ムーブメント(インドネシア)
・ブラック・アーティスツ・イン・アジア(フィリピン)
・アーティスツ・ヴィレッジ(シンガポール)
・ニャサン・スタジオ(ベトナム)
・ルマ・アイル・パナス(マレーシア)
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グエン・ミン・タン(ベトナム)《二つの柱》1997年(部分) |