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作品リスト
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フィリピン
▼平面
教育による進歩
カルロス・フランシスコ
■制作年 1964
■材質/技法 油彩・画布
■サイズ
(高さ×幅×奥行)
263.5×324.8×-
この作品は、マニラの教科書出版社の壁画として描かれたもので、フィリピンにおける教育の由来と発展、そして教育の重要性を主題にしている。左下には古代にやってきたマレー人たちが描かれ、そのスルタンが指さす先にはスペイン統治時代の修道士に祝福されるカップルが、左上にはアメリカ統治時代に派遣された教師団が描かれている。中央には19世紀フィリピン独立運動の父ともいわれるホセ・リサールが母親に読み書きを習う姿とともに、磔のキリストを思わせるイメージと重なり合って、この国民的英雄の悲運の生涯を暗示している。周辺部を亡霊のように漂っているのは、無知や迷信であり、それらは教育の発展によって消え去ろうとしている。作者は、このように、マニラ市庁舎壁画を始め、フィリピンの歴史を大画面に描き続けて、壁画や歴史画に新境地を開くとともに、国民的な人気を獲得した。
スペインの暗い側面の祭壇屏
ロベルト・フェレオ
■制作年 1985
■材質/技法 アクリル、おがくず・木
■サイズ
(高さ×幅×奥行)
391.3×311.1×-
スペインの植民地支配など、長く異文化の影響を受けたフィリピンでは、フィリピン文化とは何かを問い、自分たち自身で歴史を語り直そうとする動きが活発だ。ロベルト・フェレオは、スペイン時代以前の、本来の、「無垢な」フィリピンをピンタド(初期のスペイン人入植者たちは、全身に入れ墨を施した先住民を、描かれた人=ピンタドと呼んだ)というキャラクターに仮託し、ピンタドの波乱の物語を通して、民衆から見たフィリピン史を絵画の形で物語る。この謎めいた大作は、スペイン時代のキリスト教会の祭壇屏の形式を借りて、白人の神が、有色人種の生殺与奪の権利を握っていることをほのめかす。同時に、下段の人間以前の存在が、有色人種、白人へと上向きに進化していくという、一種のヒエラルキーのパロディにもなっている。
D.H.(家政婦)
エルマー・ボルロンガン
■制作年 1993
■材質/技法 アクリル・画布
■サイズ
(高さ×幅×奥行)
153.2×152.8×-
なかば顔をつぶされた女性たち。裕福そうな家の庭先で、植民地時代のスペイン風の椅子に腰掛けた彼女たちは、口答えをすることはもとより、互いに会話を交わすことさえも禁じられている。すでに植民地時代は過去となったものの、フィリピンの女性たちは貧しい家計を助けるために香港やシンガポール、タイ、中近東などへ出稼ぎに行く。出稼ぎ先では雇い主に虐待されることがあるという。この作品も実際に起こった事件に着想を得て描かれた。女性の人権について言及するとともに、東南アジア諸国の経済的な力関係のなかで、弱い立場にあるフィリピンの人々が不当な扱いを受ける現状を告発する。エルマー・ボルロンガンは、社会の矛盾のなかで重荷を背負って生きる庶民の痛みに関心をよせる、フィリピンの新世代の画家である。
すべてのものに開かれた天国
マニュエル・オカンポ
■制作年 1994
■材質/技法 アクリル、コラージュ・画布
■サイズ
(高さ×幅×奥行)
177.1×270×-
マニュエル・オカンポは、都市の落書きかアメリカの俗悪な漫画のような絵画の手法で、スペイン植民地時代にフィリピンに定着したカトリック美術の主題や様式をしばしば引用する。しかし、そこに描き出されるのは聖者や救済の場面ではなく、植民地主義や人種差別という負の歴史遺産と、現代都市の大衆文化とがグロテスクに混在した地獄絵図である。キリストに扮して中央に立つ忌まわしいゴキブリ、ナチスを思わせる鷲の紋章や鉤十字、飲酒などの反道徳的なイメージのすべてが「すべてのもの」の救済をうたいながらも、実は移民を排斥し第三世界を支配し続ける、ヨーロッパ文化の権力と暴力を暴き出している。それはもはや特定の地域や文化の問題ではなく、異なる文化が対立しつつも共存せざるをえない現在の多文化的な世界の縮図ともいえるだろう。
▼立体
創造と破壊の神話Ⅰ
アグネス・アレリャーノ
■制作年 1987
■材質/技法 鋳造(大理石の粉)、米、大理石の砂、木
■サイズ
(高さ×幅×奥行)
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『創造と破壊の神話Ⅰ』はふたつの部分からなる。「死体─豊饒の角」は、自らの爆発によって宇宙を創生した<第一の牛>が、レンブラントの有名な絵画を思わせるように逆さ吊りになったものである。その体内からは稲の神ブロルが、永遠の収穫を見守り続けている。足元には、死んでしまったどくろたちが、五線譜の上に音符のように並んで、「日の出の歌」を歌っている。歌のかたちで新たな生命を生み出そうとしているのだ。アグネス・アレリャーノによる、暴力と破壊と死に彩られた残酷な物語は、実は誕生や再生のイメージに支えられたものだ。破壊は誕生によって、死は再生によって、常にあがなわれる。作者は、ギリシャ神話の豊饒の角(コルヌコピアイ)からフィリピンの民俗神まで、世界の神話イメージに拠りながら、創造と破壊の新たな神話を紡ぎ出す。
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